失われた日常
長年使っていた、シャープの洗濯機から、ある日「ガコッ」という異音が。
洗濯物を見ると、墨のような黒い染みがアチコチに・・・・
この染みは洗濯槽の底のネジから滲み出ており、金属部品が摩耗して出た金属粉が錆びたものだということが判明。
洗濯槽の底でいつも健気に回転している「セパレーター」というパーツのコア部分の歯が摩耗し、空回りする状態になったようだ。
交換部品を捜索
メーカー保守パーツをネット取り寄せ
ネットで探したところ、下記の記事がヒット。ES-TG60Fという型番まで一緒だ。
パルセーターをネット購入できるとあるが、この記事内でも指摘されているように下記の品番はもはや生産されておらずネットでも販売されていない。そりゃそうだ、発売から14年も経っている。
210-285-0280(2102850280) / SHARP(CPUL-A106QBEB)
次のものが新型番ではないかということで、自己責任の注意書きとともに紹介されていたため、それを購入。
わざわざ九州から福島まで配送されてきて、わくわくしながら開封したところ・・・半径が合わない!!!
ちゃんと購入ページに半径が書いてあるのに、なんたる失態か。
記事を見つけたときは嬉しくて、ちゃんとアフィリエイトを踏んで購入したのに、単なる無駄遣いに。
さほど高いものではないから、気を取り直して仕方なくすぐにメルカリで出品し、洗濯はコインランドリーで凌いだうえで、パーツを買い直すために再調査。
しかし、明確にこれというものは見つからない。半径としては下のものが合っているが、なにせ値段が高い。
アリババ系中華通販サイトにも同じものが半額であるが、発送が1ヶ月先・・・これではコインランドリー代金を踏まえたら楽天のほうが安い。
家電量販店に頼る
既に2,700円分トチっていることを考えると、この5,000円の賭けに負けたときのダメージは大きすぎる。もう少しネットを彷徨うと、下記の記事を発見。
私と同じようにネットでターゲットの型番が買えず、シャープのサービスステーションに電話をした結果、流通在庫をゲットできた、とのこと。この記事は割と新しく、2018年である。
しかし今日は日曜日。サービスステーションは休日である。悶々としたまま日曜を過ごすのが嫌だ。多分サービスステーションでなくても、パーツの在庫を調査するシステムが稼働しているシャープのコンシューマー系サービス窓口が開いていれば調査できるはず。しかしもちろんその連絡先は一般人にはわからない。
というわけで、家電量販店の窓口で聞くことに。
近くにコジマ✕ビックカメラがあるので、その窓口で聞いてみた。
そうしたら、その場ですぐに電話をしてくれたものの、ものの30秒で沈没。
あまりの早業に納得がいかず、どこのサービス部門に電話したのか?窓口の先では端末でパーツの型番を入れて調査したのか?などと、へんに玄人ぶって窓口のベテラン店員を少し困らせる事態に。
諦めがつかず、もう一軒くらい調べてもらおうと思って、今度はケーズデンキに電話。
ケーズの担当者はデキる人だった。これも対顧客テクニックだと思うが、困っているこちらの心情を察するかのような丁寧な対応。
「今日はメーカーがやっていないので、明日確認します」
ということになり、なんださっきのコジマはどこに聞いたのだ?と思わざるを得ない。
これでとりあえず今日はゆっくり休もうと思ったところで、30分しないうちにケージから電話が。
「窓口が今日やっていたので確認しました。在庫はないそうです。」
・・・絶望とともに帰宅。
交換部品を創作
洗濯機はモーターが命だから、日立か東芝以外選択すべきでないなどという論調が当時あったが、モーターどころかたかが指先程度の金属部品の摩耗によって、なんら問題なく動き続けていて愛着すらある洗濯機を、買い換えなければいけないのか。
そんな馬鹿なことがあってはいけない。諦めの悪い私は、
「だったら間違って買ったパーツを削ってサイズを合わせてやる!」
という苦難の道を進むことに。
パーツを切り出す
壊れたほうのセパレーターに木工用のミニのこぎりを入れてみたところ、けっこう進みが良い。樹脂多めの柔らかい材質だから、のこぎりとの相性は良さそうだ。
こうなったら突き進むしかない。
間違って買ったパーツは半径が2センチ大きい。しかしちょうど2センチ詰めたあたりに段差があり、これを目安に切ったら良さげな感じ。
使うのこぎりは、木工用に買っていた「引廻鋸」。確かホームセンターで300円台くらいで買えたものです。
これでひたすらがんばること30分。プラスチックの粉まみれになりながらも、なんとか切り出すことができた。径だけではなく、底面の部分もオリジナルに合うように形を加工。
これにヤスリをかけて完成。円周の形状は明らかにオリジナルとは違っているが、とりあえずピッタリとはまるし、試しに雑巾を洗ってみたところ、問題なし。
気になるのはやはり形状の違いから生まれる空間。ここに小さな、例えば靴下やハンカチ、シャツの袖などが巻き込まれはしないか。
あくまで今回の仕業は延命措置なので、面倒かもしれないが、洗濯ネットをなるべく使ってそうならないようにしたい。
もし不具合があったら、エポキシ樹脂のパテで隙間を埋めることだってできるだろう。
思ったこと
パーツ保有期間
法律上の取り決めとは言え、10年選手が珍しくない洗濯機に対して、メーカー生産終了後パーツ保有期間7年というのは短すぎる。冷蔵庫は9年のようだ。
いや、以前私もメーカーにいた立場なので、いつまでも昔の機種の保守をし続けるコストがばかにならないことはよくわかる。
だが、今回のパルセーターはあきらかに消耗部品。洗濯ネットだとか風呂水給水用ポンプなどは、型番を限定せずなるべく共通化してパーツを供給し続けているのだから、同じような扱いにするべきだ。
パルセーター事態の形状がそうできないなら、最低限、消耗部品の金属部品は取り外し可能にすべき。コア部品だけAmazonで売っているようだからそれができるのかと思ったら、どれだけカッターで削っても外れる気配がなかった。
「あきらめない」が肝心
自分でできそうなことは、たとえそれが効率が悪いことでも、悪あがきしてみる。それが大事だと思う。
今回も、とっとと洗濯機を買い換えればよいのだが、そういう大量生産大量消費の思想がもたらした過大な経済様式が、この新型コロナの騒動で多くの難民を生むことになっているように思う。